2016年10月25日

定性評価よりも定量評価

銀行の融資審査は、定量評価(数字で表れる事がら(≒会計)の評価)と定性評価(数字で表れない事がら(≒潜在能力)の評価)で行われます。しかし、融資審査における比重は、定量評価が圧倒的に高いと私は考えています。これは人によって異なると思いますが、私は定量評価9:定性評価1と考えています。

これについては、「定量評価(会計)は過去の結果である。融資審査は将来性(潜在能力≒定性評価)を見て融資を行うべきである」という考え方があると思います。もちろん、融資審査は過去がどうであったかというよりも、将来がどうであるかを見通して融資を行わなければなりません。それでも定量評価の比重が高いというのは、数字で表されるデータは客観性が高いという理由があります。定性評価は数字に表れないので、人によって評価が変わりますが、定量評価は人によって評価はほとんどかわりません。

また、「過去の業績は悪かったけれど将来は回復する」という例は皆無ではありませんが、やはり少数でしょう。だからこそ、過去のデータではあっても、会計面での評価は比重は高くなります。さらに、「会計そのものも完全には客観的ではない。すなわち、経営者の意図によって利益が少なくなったり、利益が多くなったりする」と考えている方もいると思います。これについてもその通りですが、そこを補う情報は定性的な情報です。とはいえ、経営者の意図によって利益額が変わるといっても、おおまかな趨勢までは変わらないので、やはり会計に現れる数値は重要です。

結論として、定量評価も定性評価も大切ですが、基本は業績は数字で表されるものの比重が高いということに変わりはありません。銀行が数字で表れた結果に左右されるということも妥当であり、定量評価から得られる結果が定性評価から得られる結果によって覆るというようなことはまずないでしょう。


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2016年10月24日

期限の利益の喪失

銀行からの融資に関する「期限の利益」とは、あらかじめ約束された返済期限になるまでは融資を返済する義務はないということです。そのため、長期間の借入になるほど、融資を受けている側の、融資を受けている側の期限の利益も大きくなるため、借入の金利も期間が長くなるほど高くなります。

ところで、一定の要件を満たすと、融資を受けている側は期限の利益を失います。これを期限の利益の喪失と言います。期限の利益を喪失すると、契約上は返済期限の到来していない分も含めてすべての融資金について直ちに返済する義務を負うことになります。

銀行からの融資については、この期限の利益を喪失する事由は、基本約定書(銀行取引約定書等)や借用証書(金銭消費貸借契約書等)に記載されており、当然喪失と請求喪失の2つの種類があります。当然喪失とは、支払の停止(いわゆる倒産など、支払能力がなくなったときなど)になったとき、6か月間に2回の不渡りを出し、手形交換所で取引停止処分になったとき、いわゆる夜逃げをしたときなどに、そのことによって期限の利益を失うことです。

一方、請求喪失は、返済が延滞したとき、融資契約に違反したとき、債権保全を必要とする相当の事由が生じたときなどに、銀行が融資を受けている側に催告書を発送し、その内容によって状況が改善されなければ(延滞しているときは延滞が解消しないときなど)、期限の利益を喪失します。なお、「債権保全を必要とする相当の事由」とは、表現が曖昧であり、銀行側に有利に感じられますが、銀行もむやみに期限の利益を喪失させることはあまりありません。ただ、会社の赤字の状況が継続していたり、債務超過の状況が継続している場合は、この「債権保全を必要とする相当の事由」に該当すると言えます。

融資を受けている側でわかりにくいのは、請求喪失が行われる状態にあるときです。前述のように、融資の返済が延滞していたり、赤字が恒常化している場合、銀行は契約に従って期限の利益を喪失させることができます。期限の利益を失った会社に対しては、銀行は、預金と融資金の相殺、担保の処分、保証人からの代位弁済、法的手続きによる回収などを行うことになります。

これも、前述のように、銀行はむやみに期限の利益の喪失を行う訳ではありませんが、融資金の返済を延滞していたり赤字の状態が続いている場合は、銀行の意向次第で期限の利益を失います。しかし、銀行の融資を延滞していたり赤字が続いている会社の経営者の方の中には、そのような契約になっていることを知らない方も多いようです。銀行も、融資先の成長のために融資を行っているわけですから、それが達成されない状況(赤字の計上)や約束違反(延滞)は厳に避けなければなりません。


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2016年10月23日

本当に必要な借入か

私が受ける起業のときの融資の相談の中で、融資の金額が大きすぎると感じるものが少なくありません。「金額が大きい」というのは、絶対的な金額ではなく、その事業を鑑みて妥当かどうかという相対的な金額から勘案する金額です。例えば、設備は賃貸やリースでなくなぜ融資を受けて購入するのか、出店場所はなぜ駅前の一等地なのか、なぜ創業時からそれだけ大きな機械が必要なのか、という疑問があるものがあります。

もちろん、創業しようとする方にはそれなりの考え方があるわけですが、それを実現する方法は融資しかないのか、それが成功する客観的な根拠があるのかという点に欠けるのです。最初から、多くの製品を生産したり、一等地に出店しようとするならば、テストマーケティングなどを行い、需要が確実であることを示していれば強い根拠となりますが、それなしには創業時に大きく事業展開を行うことはリスクが高く、融資の承認も得られにくいでしょう。

銀行側も、決して及び腰ではなく、創業してみたら予想より需要があり、結果的にもっと生産能力を大きくしておけばよかったという例は知っていますので、なんでも申し出よりも小さくすればよいと考えているわけではありませんが、予想が上振れするという例は少数であり、創業時の計画は客観性がなければ最低限の設備とすることが妥当でしょう。

また、借入申込額が多額となる原因には、準備期間が短いというものもあります。大きな事業を行いたいのであれば、それなりの準備期間を置き、2割〜3割の自己資金を用意する必要があります。自己資金が多ければ、融資をする側もリスクが少ないと判断しますが、それだけでなく、創業しようとする経営者はきちんと時間をかけて計画的に創業しようとしているという姿勢も評価します。

このように、緻密な計画や十分な自己資金などにより、創業の際の壁のひとつである創業融資の承認は得やすくなります。これを言いかえれば、準備が不十分であればあるほど、創業時の融資を難しくすることになります。



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