2016年10月21日

株主責任と貸手責任

銀行が融資している会社が倒産してしまい、その会社への貸付金を回収できなくなったとき、「銀行は、融資をするときの判断を誤ったのだから、貸付金の回収ができなくなったことについては、銀行自身にも貸手責任がある」と指摘されることがあります。もちろん、融資をする銀行は貸付利息をもらう見返りに融資のリスクを引き受ける訳ですから、貸手責任があることには間違いありません。

しかし、貸手責任ほど認識されていないものに株主責任があります。株主は会社に出資している人で、出資額を限度に責任を負います。ここまでは多くの方が理解していますが、株主責任が貸手責任より重いということを認識している人は意外と少ないようです。その法律的な根拠は割愛し、具体例で述べると、株主と銀行の違いは、株主は議決権を持っているということです。株主は議決権を行使して会社経営に関わることができる立場であることから、お金を会社に提供しているという点では株主と銀行は同じですが、責任については株主の方が大きい訳です。

よって、「銀行が貸手責任を負い、貸出金を免除する」という状態が発生したとき、貸手責任より株主責任が重いわけですので、銀行が貸出金を免除する場合は、当然に、株主は株主責任を負い、株主としての地位を失います。これを言いかえれば、株主は責任を負わず銀行だけが貸手責任を負う、すなわち、株主が株主の地位を失わずに銀行から借入金の放棄を受けるということはありません。

よく、経営者の方が「銀行から債務免除を受けたい」と希望を出す方がいますが、それは(オーナー企業では経営者自身が兼ねている)株主は株主の地位を失う、そして、その場合、経営者としての責任も問われ、辞任せざるを得なくなるということを意味していると認識する必要があります。


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posted by 六角明雄 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする