2016年10月27日

知人が融資を受けたから…

例としては少ないのですが、私が銀行に勤務しているとき、「同業者のA社が1億円の融資を受けたそうだから、うちの会社にも1億円を融資して欲しい」というような申し出をする経営者の方に、何人かお会いすることがありました。近隣の同業の経営者同士では、お互いに自社の状況を話し合うことがあり、その中で銀行から多額の融資を受けることができたということは、自慢話として挙げられるのでしょう。だから、思うとおりに融資を受けられない経営者の方は、前述のような申し出につながるのでしょう。

当然、多くの方にご理解いただけると思いますが、このような融資申込の妥当性はなく、おおむね断ることになります。そして、単に融資の妥当性がないというだけでなく、同業者との張り合い、すなわち自分の面目を保つことを目的に融資を受けようとする姿勢で銀行に接してくる経営者の方については、銀行は経営者としての資質を疑問視するでしょう。

ところで、最近、上場会社が、不適切な会計処理を幹部に指示していて問題になりました。これは、当然、経営者自らがコンプライアンス違反を犯していますが、「同業他社が業績をあげているのに、当社が業績を下げたら、自分の面目がつぶれる」という思いが動機のひとつであったでしょう。経営者が優先すべきことは、コンプライアンスは当然ですが、株主の期待にこたえているかどうかということは言うまでもありません。

この経営者が、本来の務めを果たさず、自分の面目を維持したいと考える傾向は、中小企業だけではないようです。あまりにも基本的なことですが、経営者の本来の役割とはどういうことか正しく認識されて欲しいと感じています。


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posted by 六角明雄 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする