2016年12月04日

決算書のよしあしは何か

ある会社さまから融資のご相談を受けたときに、私から「この決算書だけでは、うまく貴社の状況を銀行に伝えられない」とお伝えしたところ、「この決算書は税務署で受理されている。何が問題なのか」と経営者の方から返答されたことがあります。これは、経営者の方からだけでなく、税理士の方からも同様のことを言われることもあります。すなわち「この決算書は税務署に提出し、受付印も押印してある」というものです。このような反応をする経営者の方や税理士の方にとって、「決算書=納税額の計算書」という位置づけになっているのでしょう。

このことは、多くの方に知られていますが、会計には投資家や銀行向けの財務会計、税務署向けの税務会計、経営者向けの管理会計があります。ただ、中小企業では、財務会計と税務会計を作り分けることが負担であることから、税務署向けに作成した会計をそのまま投資家や銀行向けの決算書としていることが多いようです。さらに、経営者向けの管理会計を利用していない会社は、結果的に税務署向けの決算書が唯一の決算書となってしまいます。

ここで述べたいことは、単に、税務会計だけでなく、財務会計や管理会計も導入しなければならないということではありません。税務署に提出する決算書は、納税額の計算に誤りがあるかどうかということでしか評価されていません。納税額の計算に誤りがなければ、特段、税務署から訂正は要請されません。しかし、納税額の計算が正しく行われた決算書が、必ずしもその会社の特徴を銀行に正しく伝えているかというと、そうとは限りません。

銀行は、決算書を会社の成績表であると位置づけているわけですから、自社のすばらしさが伝わるないようでなければなりません。決算書は税務署が受付してくれたからそれでよいと考えず、銀行に自社のことが正しく伝わっているかどうかという観点でも見る必要があります。さらには、経営者の方が会計を経営判断に活用できるよう、管理会計を導入すると、さらに事業の改善ははかどることでしょう。



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2016年12月03日

なぜ経費を支払うのか

簿記について習った方ならすぐに分かることですが、例えば、従業員の方への研修費は、その支出をした会計年度の経費として会計上の処理が行われます。その結果、会計上はそのお金は会社に残らないことになります。しかし、研修費を支出する判断の中には、研修費以上の収入が見込めるため、研修費を支払って従業員の方に研修を受けさせます。会計上は、研修費は会社に残っていないものの、従業員の方はレベルが高くなり、その結果、一般的には長期的に研修費以上の収入を得ることになるでしょう。そうでなければ、研修費を支出する会社はいつまでも赤字が続くことになります。

会計上は、研修費は会社から社外に出て行ってしまい、会社には残っていないものの、その代わり、研修を受ける前よりレベルアップした従業員の方が会社にいることになります。このレベルアップした部分は、会計的に測定できないこと(貨幣的評価の公準)から、財務諸表上は表すことができません。しかし、経営者としては、支出の判断を行う上で把握していなければならないことがらだと思います。

ところで、よく「銀行は定量的な分析だけでなく、定性的な分析も含めて融資の判断を行うべきだ」と言われます。そういった部分では、この研修費などは判断の要素になります。研修費が多い会社は、その会社の姿勢を読み取る重要な材料になります。ここでは、例として研修費を挙げましたが、銀行が融資審査をするときは、研修費を含めあらゆる支出について確認しています。単に、利益が多いまたは少ないということだけでなく、どういった経営方針に基づいて、何に支出をしているかというところまで、経営者の方は銀行とお話しすることが大切だと思います。



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2016年12月02日

黄信号で停止する

先日、私の知人のお父さまが他界されました。その知人から聞いたお話しですが、お父さんは乗り合いバスの運転士として定年まで勤めあげた方だそうです。お父さんが定年を迎えて最後に運転したバスには、家族全員がそのバスに乗って、永年の勤務の労をねぎらったそうです。

そんなにも家族に慕われていたそのお父さんは、お元気なときは、自動車を運転していて交差点に入る時、信号が黄色であれば停止していたそうです。私はせっかちなので、黄色であれば交差点に進入してしまうのですが、黄色でも停まるというのは、安全運転に努めようという固い信念があるのだと思います。それは、たくさんの乗客を乗せて走るバスの運転士としては、当然のことなのかもしれませんが、なかなかできるものではありません。

その一方で、私自身のことについて考えてみれば、スピードが大事などというもっともらしい理由をつけて、いろいろなことを疎かにしているかもしれません。いろいろなことを省略したりするのも、スピードが大切なのではなく、準備を疎かにしたことを隠すためのいい訳なのかもしれません。心を落ち着けて考え直さなければならないと感じました。



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