2016年12月22日

ベンチャーキャピタルの薦め

私が、中小企業の資金調達について、不思議に感じていることのひとつが、ミドルリスクの資金調達方法が少ないということです。というのは、現在の銀行の融資利率は、おおむね3%以内に収まっています。しかし、銀行からみて、融資利率が3%以内というのは、ほとんどが、事務コストと調達コストです。信用コスト、すなわち、貸倒となったたときの回収にそなえるコストは含まれていません。

したがって、ある程度、回収の見込みが高くないと、この金利では融資を受けることができません。このことは、ある程度、リスクの高い事業に挑もうとする会社は、融資を受けられないということになります。そこで、かつて、ミドルリスク・ミドルリターン、すなわち、少し金利が高くても融資を受けたいという会社向けの融資を行おうとする銀行が2つ登場しました。しかし、その2つの銀行とも、事業が行き詰ってしまいました。私は、なぜ、ミドルリスク市場が広がらないのかということについて、今でも疑問を持っています。

話を変えて、日本にも、ある程度のリスクがある事業に挑む会社に資金提供を行う金融機関があります。それは、ベンチャーキャピタル(VC)です。VCは、改めて説明するまでもありませんが、事業会社に対して資金を提供する機関としては、銀行と同じです。ただし、銀行は事業会社に対して融資によって資金提供を行いますが、VCは事業会社の発行する株式を引き受けることによって資金提供を行います。すなわち、VCは資金の提供を行うのと同時に、株主にもなるということです。

株式の発行によって、資金の提供を受けると、融資契約のように、資金を返済しなければならない期限や利息の支払はありません。その一方で、VCは株主として、議決権を持つことになります。そのため、株主総会では、株主として、社長がきちんと働いているか、計画通りに事業を進めているかといったことについて、細かくチェックをします。株式の引き受けによって提供を受けた資金については、銀行融資のように利息の支払はありませんが、それに代わる配当を支払うよう要求してきます。もちろん、配当を支払うためには、会社が利益を出さなければなりませんが、VCは、きちんと配当を得られるよう、利益を計上することを要求してきます。さらに、場合によっては、VCの職員などを取締役に就任させるよう要請してきます。そして、社長に経営者の資質がないと判断すれば、社長交代を要求してきます。

ここまで、VCの特徴を書きましたが、このようなことを書くと、出資は受けたくないと感じてしまうかもしれません。しかし、そもそも、VC側も、出資の申し込みがあった時点で、出資の妥当性を検討し、ある程度計画が達成されるということが見込まれる場合に出資をするわけですから、出資先に対して、無理な計画を達成することを強要するということはありません。そして、計画の達成状況を毎月確認し、もし、計画通りに事業が進んでいない場合は、改善策などを助言したり、販売先のあっせん、幹部の派遣といった支援をしてくれることもあります。

このような面から、事業を迅速に成長させたいと考えている経営者の方には、VCは強い味方になるでしょう。もちろん、VCから出資を受けるには、事業構想の細部にわたって説明する必要があり、銀行への融資の申し込みよりも労力が必要でしょう。しかし、VCは、ある程度のリスクを受入れたうえで出資に応じてくれるし、銀行よりも手厚い支援をしてもらうことができます。もし、「銀行は石橋を叩いても渡らない」というような不満をお持ちの方は、VCへ出資の申し込みをすることをお薦めします。避けなければならないことは、「銀行への説明は面倒だ。だまって、必要な金額を低利で貸してほしい」と都合のよい考え方を持ち、不満を言い続けることです。
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2016年12月21日

7万円の日本酒

作家の竹田恒泰さんが、テレビ番組で、「もし、TPPが発効したら、日本酒は値上がりする」という主旨のことをお話しされていました。これは、竹田さんがヨーロッパを旅行した時、日本では1万円程度で売られている日本酒が、ヨーロッパでは7万程度で売られているところを見たからだそうです。

竹田さんも、1万円のものが7万円で売られているというのは、少し不思議だったようで、「仕入価格はずっと安いはずなのに、なぜ、7万円で売っているのか?」とお店の方にきいたそうです。これに対して、お店の人は、「7万円の価値のおいしさがするから」と答えたそうです。すなわち、ヨーロッパでは、売値=仕入値+利益ではなく、売値=市場価値という考え方をしているということを学んだということでした。だから、もし、TPPが発効したら、日本酒は、高く売れる外国にどんどん輸出され、日本でも、それにつれて、お酒の価格が上がるだろうということでした。

ところで、日本では、売値=市場価値ではなく、売値=仕入値+利益と考えている経営者の方が多いように思います。理屈では分かっていても、なかなか実施しにくいでしょう。売値ー仕入値(または原価)=付加価値ということなのですが、付加価値の根拠はなかなか客観的に把握しにくい上に、もし、過剰に付加価値を上乗せしてしまったら、顧客が離れないか心配するという面もあるでしょう。これも、改めて述べるまでもありませんが、経営資源の小さい中小企業ほど、価格での競争は避け、付加価値の大きさで勝負すべきです。

ですから、多くの経営者の方には、売値はなるべく小さくという考え方は避け、どれくらいの付加価値をつけるか、という発想で、製品(サービス)を開発するというように、方針の方向を転換していっていただきたいと思っています。
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2016年12月20日

強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ

ドイツの元サッカー選手のベッケンバウアーが残した言葉、「強い者が勝つのではない、勝った者が強いのだ」は有名です。言うまでもないですが、これはビジネスの世界にもあてはまるでしょう。私も、「あのようなビジネスのやり方は、感心できない」と思うことがしばしばありますが、自分が納得できない方法であっても、その方法で結果を出している人がいれば、それを素直に評価するようにしています。そして、可能であれば、それを自分の事業に取り入れるようにすることも心がけています。(これも、当然ですが、ルール違反をしたり、ずるをしたりしているひとは、例え利益がでていても、見習ったりすることはしません。念のため。)

私も、他者のやり方を批判する人を見かけることがありますが、でも、その批判の相手がもうかっていて、自分がもうかっていなければ、単なるひがみに過ぎません。他者のやり方を批判する人も、何らかの信念はあると思いますが、ビジネスの世界では、「能力のあるものがもうかるのではない。もうかっているものが能力がある」のですから、結果を出していなければ、他者への批判は説得力はないでしょう。

これは、銀行の融資審査にもあてはまることもあります。銀行も、融資審査をするとき、将来、もうかるであろうという会社に対して融資することを決めます。でも、たまに、将来、もうからない会社に融資をしてしまったり、逆に、将来、もうかる会社に融資を断ってしまったりすることがあります。特に、後者の場合、「あのとき、○○銀行から融資を断られた」と、ずっと言われ続けます。私も、銀行勤務時代に、取引のない会社へ融資のセールスに行ったとき、「あのとき、おたくの銀行には融資を断られた。もう、取引をするつもりはない」と言われたことが何度もありました。銀行の融資判断も、その審査能力には限界があるので、絶対に正しいわけではありません。でも、前述のとおり、ビジネスは結果がすべてですので、もし、誤った判断をしたとしても、それに甘んじる覚悟をもって融資の判断をしなければなりません。

ところで、もう少し融資審査について話を進めると、「銀行は目利き能力を高めるべきだ」という意見を耳にする機会が増えました。私も、この考え方は正しいと思います。しかし、これは、「将来、もうかる会社と、そうでない会社を見分ける能力を高めることによって、存続すべき会社に適切に融資をし、銀行自身も収益力を高めなければならない」という主旨でしょう。決して、「あまり将来性が見込めない会社であっても、融資できそうな理由を何とか見つけ出し、融資に応じなければならない」ということではないでしょう。経営者は、銀行に頼るばかりではなく、結果に責任をもたなければならないということに変わりはありません。

ところで、このように書くと、「ビジネスは結果がすべてであり、覚悟して臨め」と述べているように感じられるかもしれません。でも、ビジネスに臨んだ結果は、決してさいころを振るようなものではないと、私は考えています。具体的な内容は、また、別の機会に述べたいと思いますが、きちんと準備をして事業に臨めば、一定の成果は得られるということもこれまで私は見てきています。当然、あまり、準備をしないで、いきなり事業を始めてしまうと、失敗してしまいますが、現在は、きちんと事業に臨めば、着実に成功できる時代になったという点では、よい時代でもあると私は考えています。
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