2016年12月19日

担保があれば融資を受けられるか

最近の報道機関の記事を見ると、「銀行は、担保に依存する融資から脱却すべき」といった批判的に書かれています。このような見方は、必ずしも間違ってはいませんが、かといって、100%正しいとも言い難いでしょう。私としては、30%程度も当てはまらないと考えています。なぜなら、銀行は、担保があれば必ず融資をする訳ではないからです。

例えば、業績が芳しくない会社から融資の申し込みがありました。融資の条件として、直接経営に携わっていない社長の親族から、価値が十分に見込める不動産を担保に差し出すという申し出がありました。このような条件であれば、融資をしたのち、もし会社が倒産しても、担保を処分すれば貸出金を回収できるので、リスクはほとんどないといえます。でも、多くの場合は、銀行は融資を拒むでしょう。銀行が融資するかどうかは、融資が回収できるかどうかというこよりも、融資先が倒産しないかどうかということで判断するからです。倒産する確率が高い会社に融資をしても、銀行としては、支援の意義を感じないということです。

よく、「融資を受けられれば事業を継続できる」と考えている経営者の方を見かけますが、融資を受けられるかどうかということを、事業が継続できるかどうかの理由にすることは適切ではないでしょう。もし、銀行から融資を受けられないとすれば、それは、事業の先行きがよくないということが最大の原因です。融資を受けられるようにするには、担保を提供することよりも、業績を向上させることに注力することが最も大切です。


※お断り 本文で、第三者から担保の提供を受ける例を示しましたが、「経営者保証に関するガイドライン」などによって、銀行が、融資先への融資にあたり、その会社の経営に携わっていない第三者から、担保の提供を受けることはほとんどありません。読者の方に理解を促すために、このような例を示したことをあらかじめお断りいたします。
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2016年12月18日

融資利率2%の意味

銀行から融資を受けている中小企業は多いと思いますが、融資利率はどれくらいでしょうか?もし、2%の利率であれば、まあまあ満足できるとお感じではないでしょうか?ところで、この2%という利率はどうして決まるのかと考えたことはあるでしょうか?恐らく、多くの経営者の方は、日本銀行によってマイナス金利政策が実施されているから、この程度になるのでは?と考えるでしょう。

その考え方は間違いではありません。ただし、融資利率が決まる要因は、金利の相場だけではありません。大雑把に分けると、(1)調達コスト(2)事務コスト(3)信用コスト(4)銀行の利益です。(1)調達コストは、すなわち、預金金利ですが、現在は、ほぼ0%ですから、実際にかかるコストは、(2)事務コストと(3)信用コストです。そして、(2)事務コストは一定ですから、融資利率に大きく影響している要因は、(3)信用コストです。これは、万一、融資が返済されないリスクを見積もって決めるコストです。

例えば、融資利率が2%のとき、(1)調達コストと(4)銀行の利益をそれぞれ、0%(2)事務コストを1%とすると、(3)信用コストは1%ということになります。これは、融資額が1億円のとき、100万円は返済されないという意味です。または、100万円を100社に融資していると、1社は返済してもらえなくなるということです。信用コストが1%というのは、おおよそ正常先(黒字の会社)に対して見積もられるコストです。ですから、金利2%で融資を受けられる会社は、銀行からみて、倒産する確率が今後1年間で1%と評価されているということです。

ところで、多くの中小企業経営者の方は、「うちの会社はつぶれるはずがない」と、考えて事業経営に臨んでおられることでしょう。それは当然です。しかし、銀行から見て、「信用コスト1%の融資先」として見てもらうには、1年以内に倒産する確率が1%と判断してもらわなければなりません。ですから、単に、「うちは倒産しません」と銀行に言うだけでは銀行は納得しません。

自己資本比率が70%とか、当期利益率が20%の会社であれば、銀行は決算書を見ただけで、すぐに低金利で融資をしてくれるでしょう。でも、もし、自己資本比率が低かったり、利益率が低い場合は、「なぜ、うちの会社は倒産しないのか」ということを論理的に説明することが必要です。銀行も、目利き能力を高める努力をしていますが、銀行の判断力だけに頼らずに、自ら説明するようにすることが大切でしょう。
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2016年12月17日

成功すると思って起業したのに…

起業した人のすべては、事業が成功すると思っているから起業したのでしょう。極あたりまえのこごです。でも、必ずしもすべての人が成功するとは限らないということも、多くの方が分かっています。では、成功する人とそうでない人の違いは何かというと、その最大の違いは、何が成功の鍵になっているのか、ということを
把握しているかどうかということだと思います。

例えば、ハーブティをすきな人が、たくさんの人にハーブティを楽しんで欲しいと思い、ハーブティ専門の喫茶店を開いたとします。最初は、新しいお店、珍しいお店ということで、多くの人が来店してくれることでしょう。でも、それだけで、ハーブティ専門の喫茶店が、事業として継続していくとは限りません。事業が継続できるようになるためには、安定的に利益を得なければなりません。実は、これが結構難しいことです。

ハーブティをおいしく淹れることができても、それだけでは安定的な収益を得ることはできません。店主には、お茶をおいしく淹れる能力だけではなく、収益を管理したり、販売促進をしたり、魅力的な商品を開発したり、スタッフを教育したりといった、事業運営のためのさまざまな能力が求められます。もちろん、このような能力が必要であるということを、前もって分かっていて、きちんとこれらのスキルを学び、習得してから
開業する方もいます。

でも、このようなスキルが必要ということを認識もせず、お店をひらけば成功すると考えて、いきなり開業してしまう方も少なくありません。いまは、多くの方が開業する時代になりました。だからこそ、事業運営のよしあしが事業の成否を左右する鍵になっています。これから開業しようとする人は、ぜひ、事業だけに目をとられずに、事業運営にも目をむけて、確実に事業を成功させていただきたいと思います。
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