2016年12月16日

「建前」を受け入れる覚悟

私がコンサルタントとして助言をする機会はたくさんありますが、その助言に対して「そんなのは建前だ。それができるようなら、最初からコンサルタントに相談はしない」と言われることもしばしばあります。私もコンサルタントとして、相談された方ができないことを提案したり、理解してもらえないことを提案したりすることは避けなければなりません。 ただ、会社の事業を継続するためには、最低限実践しなければならないこともたくさんあります。

具体例は割愛し、私の経験を書きます。私が銀行で働いていたころ、その銀行の株価が急落し、倒産するのではないかという風評が広まりました。その結果、多くの預金者が預金を引き出すために、開店前から列を作りました。その当時は、仮に銀行が破たんしても、預金保険で全額が補償されているので、(現在は、1,000万円が上限)定期預金などは中途解約することは、預金者にとってあまり賢いことではありません。しかし、それでも何人もの人が「自動車を買うことにしたので、お金が要りようになった」などという理由で預金を引き出していきました。

よく「商売は信用が第一」と言われていますが、それを実体験で感じました。「不景気が長引く中で、不良債権が多いのは仕方がない。不良債権が少なくないと預金しないという要望は建前だ」という考えが頭をよぎりましたが、やはり、どの銀行を利用するかというのは預金者が決めることであり、建前かどうかを論議しても仕方がないと感じました。 事業に臨む以上、自分がどう考えるかどうかではなく、顧客がどう考えるかという観点は経営者としては特に受け入れなければならないでしょう。
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2016年12月15日

二流映画

先日、不思議な力を持つ正義の騎士が宇宙を舞台に悪者と戦うSF映画の新シリーズのひとつが封切られました。この映画のシリーズは世界的に人気で、大きな影響を与えていますが、1977年に公開された最初の作品については、前評判も低く、著名な俳優にも出演を断られたそうです。(ちなみに、この映画は、日本映画の巨匠の作品がヒントとなっていたり、その巨匠の作品に何度も出演した俳優さんに出演オファーがあったものの断られたというエピソードがあるそうです)

ところで、この映画に限らず、前もって事業が成功するかどうかを評価することはとても難しいということも、多くの方が理解していると思います。いまは、世界的にディファクト・スタンダードになったコンピューターの基本プログラムを開発した会社も、事業開始当初は銀行から融資を得られなかったそうです。稲盛和夫さんも、京セラを創業した時は、銀行からの借入に苦労したということをお話しされていました。

結論は、創業した会社が融資を受けようとするときに、銀行がその事業の目利き力を高めておくことが求められます。しかし、その一方で、融資を受けようとする側は、事業を目利きすることも難しいものであるということを認識しておく必要があるということです。

創業時に融資を受けようとする会社のお手伝いを、長い間携わってきたものとして私が感じることは、「自社はこれからこういう事業を行おうとしている」という構想を説明する会社はたくさんあります。でも、「自社の行おうとしている事業は、こういう理由から利益を得られる見込みである」というところまで説明する会社は圧倒的に少ないということです。「自社は何をやりたいか」を銀行に訴えるよりも、「自社への融資はなぜ間違いないのか」を訴える方が、より実践的だと思います。むしろ、そこまで考えていないで創業してしまうことは、銀行から融資を受けられるかどうかの前に、ギャンブル的であると言えるでしょう。
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2016年12月14日

カタカナとアルファベットに注意

「わが社のコア・コンピタンスは〇〇です」、「わが社では、KPIで業績管理を行っています」、「このたび、株式会社〇〇〇〇〇を設立し、CEOに就任しました」、「当社のスキームによって、よりセキュアなソリューションを提供できます」ここまで極端ではなくても、最近は、事業に関するカタカナ語や、アルファベットを多く聞くようになりました。ただ、私はこれらの言葉には注意が必要だと思います。

ひとつめは、新しい言葉は定義が曖昧なことが多く、自分が使っている意味と聴いた人が理解している意味が違うということが起きやすいと思います。 本当に自社のことを正確に伝えたいのであれば、誤解が生まれにくい言葉を使うことが無難でしょう。

例えば、コア・コンピタンスは、その概念を発表した、ハメルとプラハラードが論文で定義を明示していますが、その定義通りに使われていることは少ないようです。 そうであれば、「自社のコア・コンピタンス」ではなく、「自社の強みは」といいかえることが無難でしょう。

もうひとつは、カタカナやアルファベットを使うと、何か新しいことをしていると感じてしまうことです。 もちろん、言葉どおりのことを実践していれば問題ないのですが、単に、月次で業績管理をしているだけであるのに、「当社はKPIを導入している」と考えているのであれば、何ら進歩はしていないということになります。

とはいえ、私も、カタカナやアルファベットの言葉を使うべきではないとは考えていません。むしろ、新しい時代に適応した手法はどんどん取り入れるべきでしょう。 ただし、言葉だけ導入してそれで満足してしまわないようになるということは注意が必要だと思います。
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