2016年12月13日

社長は誰が選ぶのか

「会社の社長(=代表取締役)は誰が選ぶのか」という質問の答えは、多くの人が意外と知っているようで知られていないと私は実感しています。一般的には、設立されたばかりの会社はその会社を起こした人が社長に就きます。いわゆるオーナー会社の場合は、社長が退任するときに親族に社長職を引き継ぎます。上場会社でも、後継社長は現在の社長が指名してから退任するということが慣例となっている会社が多いようです。

しかし、前述の選び方は実際に行われていても、正式なものではありません。正式には、株主総会が取締役を選定し、選定された取締役の間で代表取締役を選定します。(実際は、会社の機関設計や、定款によって他の選定の仕方がありますが、ここでは、代表的な選定の仕方のみを記載します)では、この社長の選び方がわかっている場合とそうでない場合にどういった問題が生じるのかというと、銀行と経営者の方の間で認識の相違が起きるときがあります。

簡単な例では、社長職を引き継いだ2代目社長と銀行の間で起きることがあります。2代目社長は社長であるから、会社のトップなのですが、銀行は必ずしもその社長が何でも決められるとは思っていません。というのは、前社長は社長を退任しても、もし、会社の株式を50%を超えて持っていれば、直ちにその社長を解任できます。(厳密には、代表取締役の役職の解職と、取締役の地位の解任は異なるものですが、ここでは単に社長を退任させるという意味でご理解ください)ですから、銀行は、大株主である前社長を真の実力者として見ているということが多いようです。このことを逆に見れば、いわゆるオーナー会社の社長(創業社長)が会社で実力があるというのは、社長というポジションではなく、大株主であるという面が強いでしょう。

これは、難しくなさそうな話であると私は思っていたのですが、ある飲食業の上場会社で起きた会社と創業家の内紛を見ると、死亡した社長の遺族側も現在の経営者側も、前述のような知識を持っていなかったことが原因のようです。会社経営者は、法律面の知識も必要だと改めて認識しました。
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2016年12月12日

使い途はなくても融資を受けるべきか

「いまは融資を受けるほど資金は不足していないが、将来、本当に融資を受けなければならないときに備えて、銀行から融資を受けることにした」という考えを持つ経営者の方にときどき会うことがあります。これについては、100%正しいとは言えないまでも、70%くらいはこのようなことをする価値はあると私は考えています。理由は次の通りです。

(1)初めて融資取引をする会社よりも、すでに融資取引をしたことがある会社の方が、会社の内容をすでに把握していたり、返済を遅滞なく行った実績があると、銀行としても融資しやすい。

(2)融資の手続きについても、2回目以降の方が負担が少なく、本当に融資を受けたいタイミングでの融資を受けるための時間や労力を和らげることができる。

(3)銀行との取引を始めることで、銀行を通して営業情報を得ることができたり、逆に、銀行へ取引先の紹介を依頼することができるといった、金銭以外の利点がある。

ところで、いわゆる「融資枠」という考え方をする経営者の方をしばしば見かけます。ここでいう融資枠とは、例えば、5,000万円の融資を受けたことがある会社が、返済が進んで現在は融資額が3,000万円に減っている時、「融資枠が5,000万円なので、あと2,000万円借りられる」と考えたりします。この融資枠は単に口約束なので、銀行が必ず5,000万円まで融資するということを保証しているものではありません。また、銀行側が5,000万円まで融資すると口約束もしていないこともあります。

それでも、この融資枠があると経営者の方が考えるのには理由があり、銀行側も、新たに融資をするとき、その新規融資額と既存の融資額との合計額が、過去最高額以内であれば、心理的には応諾しやすいという事情があります。このようなことを考えると、将来、融資を受けやすくなるようにしておきたいと考える方は、特に資金的に融資を受ける必要はなくても、前もって融資を受けておくということは、ある程度の合理性はあるでしょう。
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2016年12月11日

多くの銀行職員は決算書を読めない

銀行は融資先を厳しくチェックしているイメージがありますが、実は、すべての銀行職員が決算書を読めるとは限りません。むしろ、融資の実務経験がない銀行職員の方が多いようです。その要因としては次のようなものが考えられます。

(1)銀行の仕事の幅が広がり、融資以外にもいろいろな業務を行うようになり、融資業務を経験しない場合も多くなった。

(2)職員数が減少し、かつてのようにOJTやジョブローテーションを組むことが物理的にできなくなってきている。

(3)銀行の収益環境が厳しくなり、人材育成に費用をかけることができなくなってきている。

そして、このような傾向は、銀行の規模が小さくなるほど強まるようです。話はそれますが、最近、金融庁が小規模の銀行(金融機関)に目利き能力の強化を特に働きかけるようになりましたが、それはこのようなことも背景にあるでしょう。私も、中小企業の経営者の方から融資の相談を受けたとき、その会社が取引している小規模の金融機関の担当者は、自らは方針を示さず、信用保証協会で保証の承認が得られるかどうかというだけで、融資の可否を回答しているということがありました。

融資を受ける側がとるべき対策は、まず、取引銀行で自ら融資判断できるひとを探し、その人と直接話ができるようにすることです。自社の担当者が、もし、決算書が読めない人であれば、支店の融資責任者や支店長と面識を作ることが必要です。もし、支店にもあまり融資に詳しい人がいないようであれば、取引銀行を変更することも必要でしょう。このようにしないと、自社が勝負をかけて事業展開するときや、業績が傾いたときに、融資に詳しくない人は、すぐに融資取引を縮小したり解消しようとするからです。
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