2016年12月10日

融資の裏技は不経済

私が銀行を退職し、コンサルタントとして開業して間もないころは、よく、融資を受ける時の裏技について尋ねられました。そういった相談者の方の経営する会社は、当然、業績はあまり良くないから裏技を使いたいということになります。そして、とにかく、いますぐ融資を受けられるようにするにはどうすればよいかという方法はあるのですが、それは単に手元のお金を少し増やすだけであり、業績を改善させるものではありません。

もちろん、手元の資金が増えた分だけ、事業は継続できる期間が延びるので、その間に、事業の改善を行うチャンスはあると考える方もいると思いますが、実際は、その短い間に業績を改善しようとする人は少数派で、多くの経営者の方は、また資金が底をつきそうになったら裏技を使おうと考えているようです。

ここで述べたいことは、裏技を使って融資を受けようとしている会社は、ゆでカエルの状態だということです。融資を受けて手元資金が少し増えたとしても、資金が残っている間に業況が抜本的に回復することはまずありません。一日でも早く、銀行に対して事業再生などの抜本的な改善策の実施を申し入れすることの方が、損害は小さいということです。
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2016年12月09日

事業計画の目的

融資のご相談を受けるとき、「融資が通りやすいよう事業計画書を作って欲しい」というご依頼を受けることがあります。これについては、「経営者の頭の中にある事業の構想を、正確かつ効果的に銀行に伝わるように書面にして欲しい」ということであれば理解できるのですが、「融資を得られるような事業計画書を作成して、とにかく融資を引き出してほしい」という主旨のことの方が多いようです。しかも、そのような方に対しては、「それでは、このような事業展開をしていけば、銀行からの理解を得られそうですが、これは実行できそうですか」と提案しても、「やってみないとわからないが、融資を得るためにはそれで提出するしかない」という反応が返ってきます。

前述の例は、理解を得やすくするために単純な例を示しましたが、融資を受けるために、しぶしぶ事業計画書を作成する会社は少なくありません。建前と思われがちですが、本来は、経営者自らが自分の構想を事業計画書として書面にし、それを社内で討議して精緻なものとして完成させ、それを銀行に説明して資金面での協力を得るという手順が、本来の事業計画書の利用法でしょう。銀行としては、これからの事業の見通しを確認するために事業計画書の提出を求めるわけですので、銀行から求められてから事業計画書を作成していては、順番が逆ということになります。

ここで述べたいことは、前述のような会社は事業計画書の作成目的が本末転倒の状態にあるということでもありますが、それよりも、業績がかんばしくなくて銀行からなかなか融資を受けることができないでいるとすれば、どのような事業を行っているのかという前に、自社の事業について計画を立て検証しながら進めずに、経営者の方が正しい方向に向かっているかどうかわからずに成り行きで事業に臨んでいるということでしょう。
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2016年12月08日

決算書の意義

「決算書は会社の実態を示しているか」ということについては、改めて述べるまでもなく、多くの人が解説しているので、ここでは、決算書の意義について書きます。

「現金は事実。利益は意見」という言葉が示すように、決算のポイントとなる利益は、経営者の方などの主観が入りがちです。だからといって、経営者が好きなように決算書の数字を決めることができるということではありませんが、一般的な会計に関するルールの範囲内で、ある程度は経営者の意図が反映されるということです。例えば、あまり税金を払いたくない場合は、ルールの範囲内で利益を減らしたり、なるべく多くの融資を受けたいと考えている場合は、利益を多くしようとするという例はよく聞く通りです。ですから、銀行が融資先の融資を検討をする際は、経営者の意図を推し量って、実態は決算書より利益が多いのか、または少ないのかということを探ります。

では、決算書は軽んじられているのかというと、別の意味で重要です。というのは、決算書は、その会社の株主総会で承認されている、すなわち、会社の意思が示されているという点で、唯一の会社の財務情報であり、基本となる資料だからです。確かに、前述のように銀行は決算書から会社の財務状況について実態を推し量ることはしますが、それはあくまで推測に過ぎないので、客観性のある資料としては、決算書が唯一の資料ということに変わりはありません。
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