2016年12月03日

なぜ経費を支払うのか

簿記について習った方ならすぐに分かることですが、例えば、従業員の方への研修費は、その支出をした会計年度の経費として会計上の処理が行われます。その結果、会計上はそのお金は会社に残らないことになります。しかし、研修費を支出する判断の中には、研修費以上の収入が見込めるため、研修費を支払って従業員の方に研修を受けさせます。会計上は、研修費は会社に残っていないものの、従業員の方はレベルが高くなり、その結果、一般的には長期的に研修費以上の収入を得ることになるでしょう。そうでなければ、研修費を支出する会社はいつまでも赤字が続くことになります。

会計上は、研修費は会社から社外に出て行ってしまい、会社には残っていないものの、その代わり、研修を受ける前よりレベルアップした従業員の方が会社にいることになります。このレベルアップした部分は、会計的に測定できないこと(貨幣的評価の公準)から、財務諸表上は表すことができません。しかし、経営者としては、支出の判断を行う上で把握していなければならないことがらだと思います。

ところで、よく「銀行は定量的な分析だけでなく、定性的な分析も含めて融資の判断を行うべきだ」と言われます。そういった部分では、この研修費などは判断の要素になります。研修費が多い会社は、その会社の姿勢を読み取る重要な材料になります。ここでは、例として研修費を挙げましたが、銀行が融資審査をするときは、研修費を含めあらゆる支出について確認しています。単に、利益が多いまたは少ないということだけでなく、どういった経営方針に基づいて、何に支出をしているかというところまで、経営者の方は銀行とお話しすることが大切だと思います。



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posted by 六角明雄 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする