2016年12月12日

使い途はなくても融資を受けるべきか

「いまは融資を受けるほど資金は不足していないが、将来、本当に融資を受けなければならないときに備えて、銀行から融資を受けることにした」という考えを持つ経営者の方にときどき会うことがあります。これについては、100%正しいとは言えないまでも、70%くらいはこのようなことをする価値はあると私は考えています。理由は次の通りです。

(1)初めて融資取引をする会社よりも、すでに融資取引をしたことがある会社の方が、会社の内容をすでに把握していたり、返済を遅滞なく行った実績があると、銀行としても融資しやすい。

(2)融資の手続きについても、2回目以降の方が負担が少なく、本当に融資を受けたいタイミングでの融資を受けるための時間や労力を和らげることができる。

(3)銀行との取引を始めることで、銀行を通して営業情報を得ることができたり、逆に、銀行へ取引先の紹介を依頼することができるといった、金銭以外の利点がある。

ところで、いわゆる「融資枠」という考え方をする経営者の方をしばしば見かけます。ここでいう融資枠とは、例えば、5,000万円の融資を受けたことがある会社が、返済が進んで現在は融資額が3,000万円に減っている時、「融資枠が5,000万円なので、あと2,000万円借りられる」と考えたりします。この融資枠は単に口約束なので、銀行が必ず5,000万円まで融資するということを保証しているものではありません。また、銀行側が5,000万円まで融資すると口約束もしていないこともあります。

それでも、この融資枠があると経営者の方が考えるのには理由があり、銀行側も、新たに融資をするとき、その新規融資額と既存の融資額との合計額が、過去最高額以内であれば、心理的には応諾しやすいという事情があります。このようなことを考えると、将来、融資を受けやすくなるようにしておきたいと考える方は、特に資金的に融資を受ける必要はなくても、前もって融資を受けておくということは、ある程度の合理性はあるでしょう。
posted by 六角明雄 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする