2016年12月26日

合成の誤謬

いま、合成の誤謬が景気がよくならない原因のひとつとしてあげられています。合成の誤謬を具体例で述べると、景気の先行きが悪いために、個人では将来に備えて貯蓄を増やすものの、その行動は、社会全体からみると、景気をますます冷え込ませてしまう原因になっているということです。すなわち、個人レベルでは不景気への備えになることが、社会全体では、ますます状況を悪化させてしまうということです。

ここから先は私見ですが、会社においても同じようなことが起きていると感じています。例えば、現在の若者は、自動車を購入したり、飲酒をしたりしなくなったことが、景気悪化の一因となっていると言われています。しかし、それは、会社が原価を下げるために、若年者の世代に対して正社員としての採用を減らしたり、給与水準そのものをあげて来なかったことが、消費意欲を下げていると言われています。ですから、ひとつの会社としては、原価を下げるという正しい行動が、社会全体としては、消費意欲を引き下げて、それが、巡りめぐって自社の経営環境を悪化させてしまったということです。

そのような反省もあると思うのですが、ある大手コンビニエンスストア本部では、給与水準を引き上げて、消費意欲を高めようという試みを行ったようです。とはいえ、多くの会社では、「給与の引き上げどころか、とにかくいまを乗り切ることで手がいっぱいだ」と感じておられることでしょう。

でも、消費意欲を高める方法は、給与引き上げ以外でも行うことができると思います。福島県にある、大手ラーメンチェーン店では、出産・育児のために退社した従業員を積極的に再雇用しているそうです。会社としては、育成した人材が、出産・育児のために退社しても、また自社で働いてくれれば、人材を育成する費用を減らせるというもくろみもあるでしょう。でも、それだけでなく、そういった会社の方針を従業員が理解していれば、前向きに出産・育児を考えられるようになり、わずかかもしれませんが、出生率の低下を緩めたり、世帯収入を増やして消費意欲を高めたりすることに貢献することになるでしょう。また、そういった会社は、社会的な評価も高くなり、優秀な人材が集まることにもつながるでしょう。

このようなことに限らず、わずかなことでも、社会全体に貢献する姿勢を打出すことは、長い目で考えれば、自社の業績向上につながると私は考えています。
posted by 六角明雄 at 08:00| Comment(0) | TrackBack(0) | コラム | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする