この答えに対して、質問者はがっかりした様子だったものの、稲盛さんは、「まず、蓄えようという強い意思を持ち、それから、それを実践することが大切だ」と大きな衝撃を感じたそうです。これは想像ですが、稲盛さんは「思念が業をつくる」(「思考は現実化する」)と説かれておられますが、この松下さんのお話しがきっかけになったのかもしれません。このことは、多くの方にご理解いただけることでしょう。
とはいえ、私にご相談に来る人の中には、「そんな面倒なことをしなければならないのであれば、最初から相談には来ない」ということをお話しされる人が少なからずおられます。事業は効率的なことに越したことはありませんが、耳で聞いただけですぐに実行できることに対してお金を払ってくれる顧客はいるのでしょうか?また、一時的にうまくいっても、すぐに他社にまねされてしまい、競争力はなくなってしまうでしょう。
現在は、規制緩和が進み、開業することは簡単にできるようになりましたが、だからこそ、成功する確率は低くなっています。なにが成功するか失敗するかをきちんと見極めることがますます大切になってきています。